-
銀行からのお知らせ
「返済負担を軽減したい」「団信の内容を見直したい」といった理由で、住宅ローンの借り換えを検討している方もいるのではないでしょうか。住宅ローンの借り換えには、適用金利が低くなったり団信の保障範囲が広がったりと、さまざまなメリットがあります。
ただし、住宅ローンを借り換える際は、いくつか注意したいポイントもあります。今回の記事では、なぜ住宅ローンの借り換えで注意が必要なのかや、借り換えを検討する際に注意したいポイントを詳しく紹介します。住宅ローンの借り換えで失敗したくないという方は、ぜひ参考にしてみてください。
まずは借り換えのメリットを詳しく知りたい、という方は、借換えガイドをご覧ください。
目次
住宅ローンの借り換えでなぜ注意が必要?
住宅ローンの借り換えは、誰もが必ずしも有利になるわけではありません。借り換えのメリットとデメリットをよく比較した上で、自分にとって借り換えが適切かを慎重に判断する必要があります。
ここでは、住宅ローンの借り換えで注意が必要な理由を紹介します。
住宅ローン借入審査を再度受ける必要がある
住宅ローンの借り換えを行う際は、借入審査を再度受ける必要があります。以下のような場合はそもそも借り換えができない可能性もあるため注意しましょう。
- 収入が下がった
- 転職・独立をした
- 健康状態に問題がある
- 過去の返済実績に延滞などの履歴がある
まず、収入が下がった場合は、金融機関が定める返済比率をクリアできず、審査に通らない可能性があります。業績やボーナスによって年収が変動しやすい方は注意しましょう。
次に、数年以内に転職や独立をした人も、勤続年数が短かったり収入が不安定だったりすると、返済が滞るリスクが高いとして、借入を断られるケースがあります。
健康状態に不安や問題がある場合も気をつけましょう。借り換えの際は改めて団信に加入する必要があるため、持病や既往歴の内容によっては、審査に通らない可能性があります。
住宅ローンに限らず、すべてのローンの返済について延滞などの履歴がある場合も、内容によっては借り換えができません。
「一度住宅ローンを借りられたから大丈夫」と油断していると、借り換えに失敗することもあるため注意が必要です。
思ったように効果が出ない場合がある
「借入金利が安くなるから」「借り換えるとお得になると聞いたから」とよく考えずに借り換えをしてしまうと、思ったよりも借り換えのメリットを感じられない可能性があります。住宅ローンの残債や返済期間、借り換えの手続きにかかる諸費用によっては、手間やコストをかけるほどの効果がないと思ってしまうかもしれません。
加えて、返済総額を減らすために返済期間を短縮した場合、結果として毎月の返済負担が大きくなり、家計の支出を圧迫してしまうケースもあります。
借り換えを検討する際は、自分の契約している住宅ローンの内容をしっかりと把握した上で、自分の家計の状況に照らし合わせて、具体的にどのくらいの効果が出るのかをシミュレーションしてみましょう。
住宅ローン借り換えでよくある注意点5選
住宅ローンの借り換えで、失敗しがちな注意点を紹介します。
「借り換えしなければよかった」と後悔してしまわないように、しっかりと押さえておきましょう。
残債が少ない、または返済期間が残り短いと効果が得られない
住宅ローンの残債が少ない場合、または完済までの期間が短い場合は、借り換えによるメリットがあまり感じられないケースがあります。例えば、以下のようなケースで借り換えをした場合のシミュレーションをしてみましょう。
- 完済までの期間:6年
- 残債(借入残高):1,000万円
- 借り換え前の金利:年1.6%(固定)
- 借り換え後の金利:年0.5%(固定)
- ボーナス返済額:なし
- 返済方法:元利均等返済
- ※ 下記のご返済額は単純比較であり、実際のご返済事例を示すものではありません。
- ※ 借入にかかる諸費用は概算となります。
【借り換えシミュレーション】
借り換え前 | 借り換え後 | |
---|---|---|
毎月の返済額 | 145,754円 | 141,011円 |
総返済額 | 10,494,300円 | 10,152,800円 |
諸費用 | - | 372,000円 |
諸費用を含めた軽減効果 | - | 30,500円 |
出典:住信SBIネット銀行 住宅ローン借換えシミュレーション
上記の例では、借り換えによって総返済額を341,500円減らせました。ただし、借り換えのための諸費用として372,000円が必要となるため、諸費用を加味した負担軽減効果は30,500円となります。
このように借入金利が1%以上下がったとしても、借り換えにかかる諸費用を含めるとさほど恩恵を受けられないケースもあります。
借り換えの手数料や諸費用が発生する
上記でシミュレーションを行ったように、借り換えの際には手数料や諸費用が発生します。具体的には下記のような費用が必要です。
- 事務手数料
- 保証料
- 団体信用生命保険料
- その他の費用(印紙税、登録免許税、司法書士報酬など)
事務手数料は、金融機関が任意で決めており、借入金額に対して一定の割合を掛けて算出するケースが一般的です。そのため借入金額が多い場合は、高額になる可能性があります。
保証料は、保証会社と保証契約を結ぶ際にかかる費用で、金融機関によって必要な場合と必要でない場合があるため、あらかじめ確認しておきましょう。
団体信用生命保険料は、一般的に金融機関が負担するケースがほとんどです。ただし、8大疾病団信やがん団信など特約付きの団信に加入する場合、借入金利に保険料分が上乗せされることがあります。
この他にも、金融機関や契約方法によってかかってくる費用が変わります。トータルでどの程度費用がかかるのかをあらかじめチェックするのが重要です。
住宅ローン控除を受けられなくなる可能性がある
借り換えの条件によっては、住宅ローン控除の適用を受けられず、節税効果を得られなくなる可能性があります。
借り換え後も住宅ローン控除が適用されるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること
- 新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること
借り換え後も住宅ローン控除を受けるためには、借り換えた住宅ローンがこれまでの住宅ローンの返済するためのものだと証明しなくてはいけません。借り換えのために融資を受けたにもかかわらず、他の用途に資金を充ててしまうと、住宅ローン控除は受けられない点に注意しましょう。 また、借り換え後に住宅ローン控除の適用要件を満たしていない場合、控除が適用されません。適用要件には、年間の所得や物件の大きさや用途などさまざまな条件がありますが、特に借り換えの場合は返済期間に注意しましょう。
住宅ローン控除を受けるためには、完済までに10年以上の期間があることが条件となります。借り換えのタイミングで返済期間を10年よりも短く変更してしまうと、住宅ローン控除を受けられなくなるため注意しましょう。
金利動向によっては有利にならないケースがある
借り換えによって金利タイプを変更する場合、金利の動向によっては借り換えが有利に働かないケースもあります。
今後金利が上昇すると予測して、変動金利から固定金利に借り換えるケースでは、一般的に借り換え後の適用金利は上昇しやすくなります。「変動金利だともっと金利が上がりそうだから」と固定金利に変えても、実際には変動金利のままの方が返済額を抑えられたという可能性も存在します。
一方、固定金利よりも適用金利の低い変動金利に切り替えたケースでは、当初の返済額は借り換えによって減少する可能性が高いでしょう。しかし、将来的に金利が上昇すれば、適用金利の上昇によって返済負担が大きくなる可能性があります。
いずれの場合も、金利動向が予測と異なる動きをする可能性も踏まえた上で、借り換えを検討しましょう。
手続きに手間や時間がかかる場合がある
住宅ローンの借り換えには、想像以上に手間や時間がかかる場合があります。
借り換え先を見つけるのにも、複数の金融機関の条件を比較したり、その都度シミュレーションを行ったりするのを負担に感じる方もいるでしょう。
借り換え先が決まってからも、住宅ローンの審査申し込みや契約手続き、現在借入中の金融機関での一括返済手続きなど、やるべきことは多数あります。人によっては、必要書類の準備のために役所や金融機関を訪れるために、平日に休みを取る必要もあるでしょう。借り換えを検討する際は、時間に余裕を持って進めていくことが大事です。
住宅ローン借り換えに失敗しないために
住宅ローンの借り換えに失敗しないための対策について解説します。事前にしっかりと準備しておけば、借り換えによる失敗を回避しやすくなるでしょう。
借り換えシミュレーションを事前にしっかり行う
借り換えに失敗しないためには、借り換えシミュレーションを事前に行いましょう。一見すると金利が大きく引き下げられて有利なように見えても、実際の返済額はそれほど大きく変わらないケースもあります。
借り換えシミュレーションを利用すれば、現在の借入条件をもとに、どのくらい総返済額および毎月の返済額が変わるのかを簡単にシミュレーションできます。
借り換えによってどのくらいメリットがあるかを知りたい方は、借り換えシミュレーションで試算してみましょう。
住宅ローン控除が適用されるか事前に確認する
借り換え後も住宅ローン控除が適用されるためには、返済期間が10年以上残っていることなどの条件を満たしていることが必要です。条件を改めて確認した上で、借り換え後も控除が適用されるかをチェックしておきましょう。
また、住宅ローン控除によって控除される金額は、その年の借入残高に対して計算されます。借り換えに伴う諸費用によって返済金額が増えた場合、控除額の再計算が必要になることも認識しておきましょう。
適切なタイミングで借り換えを行う
借り換えに成功するためには、タイミングも重要です。
住宅ローンの固定期間が終了するタイミングや、お得なキャンペーンが実施されているタイミングで借り換えを行えば、借り換えによるメリットを享受しやすくなるでしょう。
借り換えにタイミングが重要な理由や、おすすめの借り換えタイミングについては、こちらの記事で解説しているため、合わせてチェックしてみてください。
その他の注意点、よくある疑問
借り換えの際の注意点に関して、よくある疑問と回答を紹介します。これから借り換えを検討している方は、こちらもしっかりとチェックしましょう。
住宅ローンはいつから借り換えできるの?
住宅ローンの借り換えができる条件については、金融機関ごとに異なります。
「返済実績が1年以上あること」や「直近1年以内で返済に問題がないこと」などを条件としている金融機関が多いものの、半年以上の返済実績があれば可能としている場合もあります。
逆に、2〜3年の返済実績がないと申し込めない場合もあるため、まずは借り換えを希望する金融機関の申し込み条件をチェックしてみましょう。
住宅ローンは何回まで借り換えできるの?
住宅ローンの借り換え回数に制限はありません。過去に借り換えを行ったことがある方も、金融機関の審査に通れば借り換えが可能です。
ただし、借り換えのたびに諸経費がかかってしまうため、何度も借り換えを行うほど諸経費として支払う金額は増えてしまう点に注意しましょう。
同じ銀行で借り換えはできるの?
同じ銀行内での借り換えは、原則としてできません。
ただし、例外として「銀行が提供している住宅ローンから同じ銀行で取り扱っているフラット35への借り換え」といったように、異なる住宅ローン商品への借り換えは可能な場合があります。基本的に同じ銀行での借り換えはできないため、借り換えを検討する際は、現在借りている銀行とは別の銀行を選びましょう。
まとめ
住宅ローンの借り換えを行う際は、借り換えの条件やタイミング、費用などを総合的に判断した上で、借り換えの検討をしましょう。よく考えずに借り換えを行ってしまうと「思ったよりも返済負担を減らせなかった」「住宅ローン控除を受けられなくなってしまった」などとトラブルが発生する可能性もあります。
特に、住宅ローンの残債が少ない場合や、完済までの期間が短い場合、トータルで見ると借り換えしてもそれほどお得にならないケースが存在します。
低い金利に飛びつくのではなく、まずは具体的にどのくらい返済総額を減らせるのかをしっかりと試算しましょう。借り換えシミュレーションでは、現在の借入状況と希望する借入条件をもとに、毎月の返済額や総返済額がどのくらい減らせるかをシミュレーションできます。
ぜひ借り換えシミュレーションを利用した上で、自分に合った条件やタイミングを選びましょう。