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住宅ローンはいくら借りられるの?気になるポイントを徹底解説

マイホームの購入を検討する際には、住宅ローンがいくらまで借りられるのかを知ることが重要です。借入可能額がどのように決まるかを押さえておけば、購入できる物件の価格や準備する頭金の目安も変わってくるでしょう。

借入可能額が希望額に届かない場合は、借入期間を長くしたり、頭金を多く入れたりするなど、調整しなければなりません。今回は、住宅ローンの利用を検討している人向けに、借入可能額や借入可能額を増やす方法について解説します。


目次

  1. 住宅ローン借入可能額はどのようにして決まる?
  2. 住宅ローン借入額を考える場合の注意点

住宅ローン借入可能額はどのようにして決まる?

金融機関は、住宅ローン借入可能額をさまざまな視点から総合的に審査をして決定しています。一般的に、審査内容を開示している金融機関はありません。しかし、借入可能額を決める要素は、各金融機関の住宅ローンの商品概要や必要書類から推測が可能です。

ここでは、「収入」「借入期間と年齢」「担保となる物件」「借入状況」の4つの要素に分けて紹介します。


収入

一般的に、収入(年収)が多いほど返済できる金額は多くなるため、収入が多いほうが借入可能額は大きくなる傾向です。収入は、借入可能額決定の際の大きなポイントとなります。住宅ローンの審査を申し込む際は、就業状況によって以下のような収入を証明する書類の提出が必要です。

  • 会社員や公務員など給与所得者の場合
    源泉徴収票や住民税課税決定通知書、収入金額が記載された住民税課税証明書などの提出が必要です。
  • 会社役員など経営者の場合
    上記に加えて、会社の決算書の提出を求められる可能性があります。
  • 自営業者の場合
    確定申告書や納税証明書などが収入を証明する書類として必要です。

    個人事業主や会社役員の方は、安定した収入が得られているかを確認されます。例えば、2~3年分の確定申告書や会社の決算書などの提出を求められる可能性があるため、あらかじめ把握しておきましょう。

    また、会社員でも転職したばかりの方は、1年間の収入の見込みがわかる雇用契約書や採用通知書の提出が必要なケースもあります。通常、収入が多ければ借入可能額は大きくなる可能性が高くなり、毎月の返済に余裕があると評価されれば審査は通りやすくなるでしょう。

    また、収入の金額だけではなく、継続して安定した収入があるかどうかも住宅ローンの審査で重視されるポイントのひとつです。


借入期間と年齢

住宅ローンは、借入期間や完済時の年齢が申込条件として設定されているのが一般的です。例えば、借入期間は最長35年、完済時の年齢を80歳の誕生日までとしている金融機関が多く、条件を満たしていない場合は申し込みができません。

35年のローンを組むためには、事前に何歳までに住宅ローン組めばいいのかをよく検討して計画的に準備しましょう。また、住宅購入の際には、以下のような項目を考慮して自身のライフプランにあった借入期間の設定が大切です。

  • 準備できる自己資金の金額
  • 勤務先の定年年齢
  • 収入と毎月の返済額とのバランス

近年は、定年を延長する動きもあって、65歳や70歳を定年とする企業も多くなってきました。これらの社会背景を踏まえると、収入が得られる年齢までを借入期間とするのが理想的です。

住宅ローンは、完済時の年齢条件があるため、必ず35年のローンが組めるわけではありません。例えば、完済上限年齢が80歳の場合、60歳で住宅ローンの申し込みをすると借入期間は最長でも20年程度です。

高齢で住宅ローンを契約する場合は、返済期間が短くなるため、毎月の返済額が多くなってしまいます。年齢の若い方なら、最長35年の返済期間を組むことが可能です。年齢が若いほど返済期間を長くできるため、その分毎月の返済額を低く抑えられるでしょう。


担保となる物件

住宅ローンの場合、借入時に金融機関や保証会社が購入物件に抵当権を設定します。抵当権とは、簡単にいえば担保です。万が一、住宅ローン契約者が返済できなくなった場合、金融機関側は抵当権を行使して物件を差し押さえ処分し、借入金の返済に充てられます。

金融機関にとって、万が一の際の保全となるため、担保となる物件の調査は重要な事項です。そのため、住宅ローンの申し込みの際には、売買契約書や重要事項説明書、建築確認済証、間取り図などの物件に関する書類の提出が必要です。担保物件の価値も借入可能額を決定する重要な要素のひとつといえるでしょう。

物件価値が低い場合は、借入可能額が低くなってしまう可能性があります。


借入状況

住宅ローンの審査では、「返済比率」も重視されます。返済比率は、返済負担率などとも呼ばれ、年収に占める年間返済額の割合を示します。年間返済額は、住宅ローン以外に借入中の年間返済額も含めて以下のように計算します。

  • (申し込む住宅ローンの年間返済額+現在借入中のローンの年間返済額)÷年収×100

返済比率の基準は、金融機関ごとに異なり公表もされていません。一般的に、返済比率が低いほど返済能力が高いと判断され、借入可能額を決める際に大きな影響を与える可能性が高いでしょう。

住宅ローンを申し込む際には、現在借入中のローンの返済予定表や残高を証明する書類の提出も必要です。返済比率を計算する際には、住宅ローン以外の他社ローンの返済額も含めるため、返済比率の目安は30~40%程度といわれています。

しかし、これは年収によっても判断が異なります。例えば返済比率が30%といっても、年収1,000万円の方であれば年間300万円、年収400万円の方なら年間120万円です。年収が低い場合は、日々の生活に支障が生じるかもしれません。

余裕を持った返済を心がけるためにも、返済比率は20~25%を目安にするのがよいでしょう。また他社の借り入れが多すぎる場合は、借入可能額が少なくなる可能性があります。返済比率が高い場合は、自己資金を用意して借入金額を減らしたり、既存の他社借入を完済するなど返済比率を低く抑える方法を検討することも必要です。

住宅ローンの借入額を決める際には、なによりも借入金額と借入期間とのバランスを取ることが重要です。


住宅ローン借入額を考える場合の注意点

マイホームを購入する際の頭金の金額や借入金額などに頭を悩ましている方はいませんか?金融機関の中には、住宅ローンにマイホーム取得にかかる諸経費を含められるところもあります。頭金をたくさん入れれば借入金が減るため、総返済額を減らせる点はメリットです。

しかし、あまり頭金を多く出してしまうと今後の生活に不安を感じる方もいるかもしれません。その場合は、諸費用を住宅ローンに含めて借りられる金融機関を探すのも方法のひとつです。住宅ローンの借入額を考える際の注意点も念頭において検討しましょう。

  • 急な出費に備える
    現在の貯蓄を頭金として全部入れてしまうと、急な出費があったときに対応できません。入院や、家の修理など、万が一の事態に備えて、ある程度の資金を残しておいたほうが安心です。
  • 将来必要になる資金やローンを組む可能性も考える
    借りられるからといっても、借入可能額の上限まで借りるのは危険です。共働きで夫婦ともに収入があれば、ペアローンなどを利用して借入可能額を増やすこともできます。しかし、子どもが生まれたら、教育資金やマイカー購入などでローンを組む可能性もあるかもしれません。

    お金が必要となる場面で、「住宅ローンの借入金額が大きいためローンが組めない」といった事態に陥らないように借入金額を検討しましょう。

  • 余裕を持った返済プランを立てる
    借入可能額が高く算出された場合でも、生活費や教育資金など将来必要になる資金や、住宅ローン以外のローンを組む可能性も考え、余力を残しておきましょう。返済比率を計算する年収は、給与の額面で手取りベースではありません。

    実際に使えるお金は、社会保険料や税金を控除した手取り金額です。住宅ローンの借入金額を検討する際には、返済比率を低めに抑え、生活に支障が生じないよう、余裕を持った返済プランを立てて決めましょう。


毎月の返済額も確認してみよう

返済期間や金利が同じ場合、借入額が多くなるほど毎月の返済額は増加していきます。そのため、希望する金額を借りられるとしても、毎月の返済額がどの程度になるかを確認し、住宅ローンの返済を含めた家計の収支を考慮した返済プランを立てることが大切です。

毎月の返済金額は、借入金額だけではなく「借入期間」「ボーナス払いの有無」「金利プラン」によっても変化します。これらの毎月の返済金額に影響を与える条件をいくつか変えてみながら、住宅ローンの毎月のシミュレーションをしてみましょう。

各金融機関のサイトでは、住宅ローン借入希望額を入力すると毎月の返済額が試算できるシミュレーションがあります。住宅ローンの返済金額は、こちらのサイトでもシミュレーションが可能ですので、毎月の返済額を確認するのに役立ててください。


まとめ

住宅ローンの借入可能額を決める要素には、主に「収入」「借入期間と年齢」「担保となる物件」「借入状況」の4つです。これら4つの要素は、金融機関が住宅ローンを審査する際に重視されていると考えられます。

借入期間を長くしたり、夫婦でペアローンを利用したりすることで、借入可能額を増やすことができる可能性があります。しかし、借りられるからといって借入可能額の上限まで借りてしまうのはおすすめできません。

住宅ローンの借入額を考える際には、まず毎月の返済額がどの程度になるかを確認しましょう。また、急な出費や将来必要になる資金のことも考えて、余裕を持った返済プランを立てることが大切です。

◆氏名
加治 直樹(かじ・なおき)

◆保有資格
1級FP技能士
社会保険労務士

◆プロフィール
銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務を経験。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタントを目指す。法人個人を問わず対応可能で、会社と従業員双方にとって良い職場をつくり、ともに成長したいと考える。

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